テーマ・講師 | ||
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▶ | Stephen E. Finn ロールシャッハ及びその他の投映法を用いた治療的アセスメント |
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▶ | Barry Ritzler & Anthony Sciara 包括システムの施行法と難しいコーディング |
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▶ | Anne Andronikof 暴力的犯罪者のロールシャッハに基づくアセスメント |
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▶ | Vera Campo 子どものロールシャッハ:“探偵”としてのロールシャッハ、そして治療のフォローアップにおける有効な道具としてのロールシャッハ |
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▶ | 高橋依子 ロールシャッハ・テストの事例解釈に活かす描画テスト |
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▶ | 事例提供者:吉村聡 & 松本智子 指定討論:Phillip Erdberg & 馬場禮子 主宰:投映法フォーラムロールシャッハ法:量的分析と質的分析―力動的観点からの統合 |
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▶ | 外川江美 & 野田昌道 TATとロールシャッハ |
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▶ | 市川京子 初めて学ぶロールシャッハ |
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このワークショップでは治療的アセスメントの基礎について、ロールシャッハやその他の投映法(例えばTATやAdult Attachment Projective Picture Systemなど)に焦点を当てながらお伝えします。
治療的アセスメントの理論と研究を説明した上で、実際のクライアントとのセッションのビデオをお見せします。そのビデオによって、治療的アセスメントに必要ないくつかの協働的テクニックを示したいと思います。また、治療的アセスメントの限界についてもお話しします。
ワークショップの受講者は次のような事項を学ぶことができます。
Stephen E. Finn, Ph.D.:
治療的アセスメントセンターの創立者であり、テキサス州のオースティンで実践を行う認定臨床心理士。ミラノのカトリック大学にあるヨーロッパ治療的アセスメントセンターにおける上級研究者及びトレーニング指導者。治療的アセスメント、精神診断学、その他臨床心理学のトピックに関する50以上の論文と書籍を出版している。1984年にミネソタ大学で博士号を取得(臨床心理学)。American Psychological Association(APA)とSociety of Personality Assessment (SPA)の会員で、SPAでは2002年から2004年にかけて学会長を務めた。人格査定の分野における際立った貢献により、2011年にSPAよりBruno Klopfer賞を受賞した。
In Our Clients' Shoes: Theory and Techniques of Therapeutic Assessment;Lawrence Erlbaum Associates、2007(クライアントの身になって:治療的アセスメントの理論と技法)
A Manual for Using the MMPI-2 as a Therapeutic Intervention;University of Minnesota Press、1996(『MMPIで学ぶ心理査定フィードバック面接マニュアル』田澤安弘 酒木保訳 2007 金剛出版)
Masculinity and Femininity in the MMPI-2 and MMPI-A (共著);University of Minnesota Press、2010(MMPI-2とMMPI-Aにおける男性性と女性性)
このワークショップでは、ある程度ロールシャッハの経験を積んだ臨床家が突き当たる難しいコーディングの問題について検討します。コーディングを決める際の困難は、通常、適切な施行法がなされれば減少します。そこで、まずはDr. Sciaraが適切な施行法の確認をします。次にDr. Ritzlerが、コーディングの決定が困難なときに用いるガイドラインをいくつか提示します。
Dr. Sciaraは、標準化された、正確かつ適切な施行法について概説します。Dr. Ritzlerは、FCとCF、運動反応におけるactiveとpassive、陰影反応、特殊スコアなどの難しいコーディングの問題を担当し、コーディングの信頼性と正確性を高めるためのシンプルなガイドラインを提供します。XA%、WDA%、人間反応、PTIについては両講師が解説し、これらの変数を正しく算出するための方法、解釈上の意義、そしてそれを支持する実証的な研究をレビューします。
このワークショップにおける目標は次のとおりです。
Barry Ritzler, Ph.D.:
元Society of Personality Assessment会長。現在、ロールシャッハトレーニングプログラムの共同ディレクターを務める。スコアリングや解釈についてのワークショップを29年以上行っており(年に6-8回)、1976年から現在に至るまで大学院レベルの包括システムの教授に当たっている。ロングアイランド大学の名誉教授であり、ニューヨークシティーカレッジ、セントジョーンズ大学、ニューヨーク大学、コロンビア教員大学、ラトガーズ大学、イェシーバ大学で包括システムを教えてきた。また、イスラエル、オランダ、チェコ、アルゼンチン、ブラジル、ベルギーで包括システムのワークショップを開催した。
Anthony Sciara, Ph.D.:
臨床心理士であり、身体的、心理的、神経心理学的な障害があるクライアントの評価を専門とする。その他、職場復帰、リハビリテーション、ライフケア等のためのプランの作成や、犯罪、家庭内の問題、民事手続きなどの渦中にあるクライアントの評価も行っている。ロールシャッハトレーニングプログラムの共同責任者であり、これまでに世界中の臨床家、学者、学生を対象として、ロールシャッハの施行法、コーディング、解釈に関するワークショップを行ってきた。
ワークショップの第一部では、次の課題について取り組みます。アセスメントの目的は何か?殺人で起訴された収監者とのインタビューをどのように行ったらよいか?どのアセスメントツールを使ったらよいか?人を理解するのに包括システムによるロールシャッハテストはどのように貢献し得るか?レポートの結論をどのようにまとめたらよいか?
ワークショップの第二部では、いくつかの事例を紹介し、その事例について分析を行い、暴力的な行動に至る心理的なプロセスを記述するモデルの定式化を行います。
Pr. Anne Andronikof:
パリウエスト大学にある研究センター“IPSE研究所”の所長であり、法務省において15年にわたる暴力犯罪者のアセスメントを行った経験を持つ臨床心理学者である。彼女は、自殺も含め暴力的な行動に至る心理的プロセスに焦点を当てた研究をしており、またReid Meloy博士の独創的な著書である“サイコパスの心理The Psychopathic Mind”のフランス語訳も手掛けている。
このワークショップの目的は、子どもの自然な発達や、治療的介入があった場合となかった場合の小児期の葛藤について、様々な側面から描き出すことです。フォローアップの研究からは、ロールシャッハはセラピーのプロセスに入る前の局面や診断に関する印象を明らかにしてくれるだけではなく、予後予測や治療計画の策定に役立つことがわかっています。予後予測や治療計画策定に有用なのは、ロールシャッハが子どもの葛藤や、セラピーの妨げになりそうなこと、さらにはセラピーで使える肯定的な側面などを明らかにしてくれるためです。そして非常に重要なのは、ロールシャッハは治療的作業そのもののアセスメントに使えるということです。
Vera Campo, Ph.D.:
1988年にバルセロナ大学で博士号を取得。アルゼンチン、スペイン、カタロニアの各ロールシャッハ学会の会長を務めた。1960年よりバルセロナのロールシャッハ学校の教授をしている。最初はクロッパー法のトレーニングを受けたが、1976年にエクスナーが初めてバルセロナに教えに来た際、包括システムに「転向」した。1968年の大会(ロンドン)以来、国際ロールシャッハ学会には毎回参加している。多数の論文と3冊の著作がある。
Los Niños y el Rorschach(子供とロールシャッハ)、1988(1995英訳)
Estudios Clínicos con el Rorschach en Niños, Adolescentes y Adultos(子供、思春期、成人のロールシャッハを用いた臨床研究)、1994
Toda una vida con Rorschach(ロールシャッハとわが人生)、2008
投映法フォーラムは1995年から毎年一回開催されてきた投映法の研究集会です。毎年200名前後の参加者とともに、投映法を学び、深める機会を提供してきました。16年目を迎える2011年は、ISR東京大会を協賛し『量的分析と質的分析-力動的観点からの統合』をテーマとしたワークショップを企画しました。
午前セッションでは、吉村聡が「摂食障害の20代女性の事例」を提供し、力動的観点から量的分析と質的分析を統合する解釈を示し、これに対して、ロールシャッハの精神力動的解釈を探求し現在も若手の育成に携わる馬場禮子と、ロールシャッハ法の精神力動的解釈にも造詣が深く、国際的にロールシャッハの指導に取り組んできたPhillip Erdbergが討論を行います。午後のセッションは、松本智子が「多彩な主訴を持ち来談した女子学生のロールシャッハ」の事例提供を行い、参加者は小グループにわかれて、力動的観点から量的分析と質的分析を統合した解釈について討論し、シェアリングした後、全体総括を馬場禮子が行います。
ロールシャッハ・テストと描画テストは臨床場面での使用頻度が高く、それぞれの結果を統合して、クライエントのパーソナリティを多角的にとらえられる。しかしそれだけではなく、複雑に入り組んだロールシャッハ・テストの変数相互の関係を理解していくために、描画テストから得られる直観的な印象が役立つことがある。
ロールシャッハ・テストの解釈は、形式・構造分析と主題・内容分析を統合して行われる。包括システムでは、精緻なコード化を元にステップを追って解釈を進めるが、時には、変数相互の関係を理解しにくいことがある。さらに、言語表現の質的な検討においては、さまざまなとらえ方ができるために、主観的な解釈になってしまうことも生じる。そのような時に、描画テストにより、クライエントの全体像がとらえられるとともに、現実場面での具体的な行動様式を知ることができるため、ロールシャッハの変数をどう理解するかの方向性が明らかにできる。
当日は、両テストから得られた情報の解釈の統合など、さまざまな問題を検討できればと思っている。
高橋依子:
甲子園大学人文学部心理学科教授
文学博士・臨床心理士
日本描画テスト・描画療法学会会長
日本ロールシャッハ学会会員
包括システムによる日本ロールシャッハ学会会員
「ロールシャッハ・テストによるパーソナリティの理解」(金剛出版)
「樹木画テスト」 (共著:北大路書房)
日ごろの臨床でロールシャッハ・テストとTATを両方実施することは負担の大きさからほとんどないだろう。しかし、投映法の妥当性に関する議論が続けられる中、ロールシャッハ・テストとTATから得られる情報の質的差異をきめ細かく吟味する意義は大きいと思われる。当日は同一被検者のロールシャッハ・テスト情報とTAT情報を照らし合わせて質的差異を詳細にとらえ、査定ツールとしてのそれぞれの強みを把握できるようにしたい。さらに、両検査を組み合わせて得られる人物像の広がりと深みから、投映法ならではの全体的・質的理解の真価を再確認する機会になればと考えている。講師はいずれも司法査定の実務家であり、ケースに関する判断には客観性を求められるため、解釈の内容は臨床領域を問わず参加者に無理なく受け入れていただけると思われる。(外川江美)
このワークショップでは、ロールシャッハとTATの両方を実施した事例を取り上げ、事例検討を行う。単なるテストの解釈やケース理解にとどまらず、テストからわかったことをどのように用い、どのように活かすともっとも治療的なのか、ロールシャッハとTATをどのように組み合わせて使うと効果的なのかという、臨床実践的な観点からの検討を行いたい。(野田昌道)
外川江美:
平成2年から主に少年鑑別所(法務省矯正局所管)において非行少年の資質鑑別業務に従事する。近年は刑事施設で性犯罪受刑者の再犯防止教育に取り組み処遇実践を重ねた。これらの非行・犯罪臨床のかたわらTAT研究を続け、法務省と家庭裁判所の査定業務に携わる実務家にTAT解釈の講義を行っている。
野田昌道:
家庭裁判所調査官として、非行や家族の紛争などに関する司法臨床に従事している。心理アセスメントを専門とし、エクスナー・ジャパン・アソシエイツ、大学院などで、ロールシャッハ(包括システム)の施行、コーディング、解釈に関する教育、トレーニングに携わってきた。
人を理解する枠組みやツールはたくさんありますが、その人が世界をどんなふうに体験し表現しているのかということについて、ロールシャッハはとてもユニークな形で示してくれます。このコースは、ロールシャッハではどんな言語(コード)を用いてパーソナリティの特徴を表していくのか、最終的にその「人となり」がどのような形で示されるのかということについて、概要がつかめるようになることが目標です。
包括システムを中心に学習しますので、テキストは「ロールシャッハテストー包括システムの基礎と解釈の原理―」を使いますが、ワークブックをすでにお持ちであればそちらを持参していただいても構いません。ポケットガイドはあればお持ちください。コーディングの学習が中心になりますが、単にコードを覚えるだけではなく、それぞれがどんな意味や味わいをもつコードであるかを、様々な臨床例等を交えながらじっくり学習していきます。
大学院生の方、臨床経験はあるけれどロールシャッハは初めて、あるいは間もないという方も、どうぞご参加ください。ロールシャッハへの理解を深め、今後へのモチベーションにつなげていただければと思います。
市川京子:
1995年3月 上智大学大学院文学研究科心理学専攻修士課程修了
同年4月より 財)精神医学研究所付属 東京武蔵野病院勤務
「ロールシャッハ・テストワークブック」(金剛出版) あるいは
「ロールシャッハ・テスト 包括システムの基礎と解釈の原理」(金剛出版)