20回記念大会は,終了しました。


1. ロールシャッハ・テストから見た性加害者の特徴~有効な処遇展開の手がかりを求めて~
責任者・司会:渡邉 悟(府中刑務所)
シンポジスト:服部広正(宇都宮少年鑑別所)
シンポジスト:元木良洋(静岡少年鑑別所)
指定討論者:寺村堅志(東京拘置所)
教室番号404

2012年,犯罪対策閣僚会議は,今後10年間に,2年以内の矯正施設再入率を20%以上削減するという目標を設定した。矯正施設は,その実現に向け,再犯防止に向けた取組に力を入れている。特に,性加害の問題では,累行性の高い者がいることや被害の影響の大きさ等に鑑み,性加害者に特化した再犯防止指導が成人・少年の双方で組織的に展開され,効果検証体制も構築されてきた。
 本自主シンポジウムでは,少年鑑別所,刑事施設において,ロールシャッハ・テストにより性加害者の研究を重ねてきた2人のシンポジストが,これまでの研究成果に基づき,性加害者のロテスト特徴等について紹介する。指定討論者は,ロテスト以外の実証的研究等の所見との異同等に着目し,ロテスト研究の意義や留意点等を試論的に論じる。以上を踏まえ,フロア参加者を交えたディスカッションでは,ロテストを活用し,より有効な処遇を展開するための手がかりを探りたい。


事務局通信⑰
518日に行われる渡邉悟会員企画自主シンポ,「ロールシャッハ・テストから見た性加害者の特徴~有効な処遇展開の手がかりを求めて~」では,性加害者に関する様々なアセスメント・ツールが開発される中で,性加害者のアセスメントにロ・テストを用いることの意義や有用性について考えることを目的としています。まず,少年鑑別所,刑事施設において,ロ・テストにより性加害者の研究を重ねてきた2人のシンポジストが,これまでの研究成果に基づき,ロ・テストから見た性加害者の特徴等を紹介いたします。その際、性加害者に関する最近の処遇の動向(リラプス・プリペンションからグッド・ライブズ・モデルへ)を踏まえて、失敗を防ぐための「弱み」の指摘にとどまらず,より良い人生を送るための「強み」にも触れていただく予定です。次に,シンポジストの発表を受けて,指定討論者が,それらと他の実証的研究との異同に着目し,ロ・テストにより性加害者の特徴を探ることの意義や留意点等を試論的に論じます。性加害者については,矯正施設内での処遇ばかりでなく,保護観察所による社会内での処遇,さらには,民間のクリニックでの治療等,多くの専門家が,その再犯防止に携わる時代を迎えています。このシンポジウムを通じて,性加害者のアセスメントに当たり、ロ・テストならではの結果が得られるのか、また、その結果を処遇に有効に生かすことができるのかといったことを、フロアの皆様とディスカッションできればと考えています。シンポジスト・指定討論者は、矯正施設に勤務する心理職ですが、司法・矯正領域の方に限らず、多くの皆様の参加をお待ちしております。

2. 「社会的養護領域でロールシャッハ検査をどのように使い続けるか」
企画者:西田泰子(静岡県発達障害者支援センター)
シンポジスト:小川素子(滋賀県中央子ども家庭相談センター)
シンポジスト:望月美穂(静岡県東部児童相談所)
シンポジスト:猪又準圧(静岡県中央児童相談所)
教室番号409

 ロールシャッハ検査は施設での治療目標、課題や方針の策定、治療効果の測定、退所時に残された課題の確認や退所後の介入方針検討に有用であるが、半面、習得や解釈に時間がかかり新しい人が取り掛かるには難しい面がある。また経験者であっても、多忙な業務の中での実施には課題があり、施設側でも検査結果を活用できているとはいい難い面もある。本シンポジウムでは、児童相談所や施設での利用例を報告し、ごく多忙な社会的養護領域でのロールシャッハ検査の活用と蓄積についてフロアとディスカッションしたい。

事務局通信⑯
西田泰子先生企画の「社会的養護領域でロールシャッハ検査をどのように使い続けるか」では、児童相談所や情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設、児童養護施設、里親といった社会的養護領域でのロールシャッハテストの活用と蓄積について考えます。児童相談所では多面的なアセスメントを行っており、心理アセスメントはその中の一つです。この自主シンポジウムではまず、児童相談所で行っている心理アセスメントについての概要とその中でのロールシャッハ検査の位置づけについて共有し、支援の中にロールシャッハ検査を役立てた事例を通して、その有用性を検討します。一方で、ロールシャッハ検査が有用であることはわかっていても、実際の支援に役立つ具体的な解釈ができるようになるためにはそれなりの経験が必要ですし、さらに超多忙な業務の中での実施に二の足を踏むこともあるのではないでしょうか?また、せっかく取った検査が支援に生かしきれず埋もれてしまっていることがないでしょうか?現状についてざっくばらんに語り合い、これからの方向性を見つけることができたらというのが企画者の意図です。多くの先生方のご参加をお待ちしております。

3. 「精神科医にとってのロールシャッハ・テスト」
企画者:中村伸一(中村心理療法研究室)
シンポジスト:高橋純平(国立病院機構千葉医療センター)
シンポジスト:川原達二(川原クリニック)
シンポジスト:林直樹(東京武蔵野病院)
教室番号:309

精神科医ヘルマン・ロールシャッハがはじめたロールシャッハ・テストであったが、いまでは精神科医自身が施行し、臨床に役立てることはきわめてまれなことになっている。高橋氏は自身でこのテストを学び、施行し、臨床に活かそうとしている気鋭の若手精神科医であり、その経験を語る。川原氏は開業精神科医で、このテストを従来の精神医学的診断の補助として依頼するのではなく、パーソナリティ・アセスメントとして大いに活用し、精神療法を主体にした診療に活かしている。林氏は、精神病院勤務の精神科医であり、心理士からのテスト結果を、より深く知ることで有益に治療に活かし続けている。このように司会者を含めた4名の精神科医が、ロールシャッハ・テストから得られる恩恵をそれぞれの立場から語り合ってから、このテストを巡っての参加者たちからの一般精神科医への要望を聞き、さらにはよくある批判にも応えてみたい。


事務局通信⑮
中村伸一先生企画の自主シンポ「精神科医にとってのロールシャッハテスト」では、ロールシャッハに詳しい精神科医である4名の先生方から、心理士とは違う見地を知る、貴重な機会となりそうです。ご自身でロールシャッハを施行・解釈し利用している先生、ロールシャッハデータを見て処方を決める先生、解釈を患者理解のために用いている先生らによって、このテストの有用性や限界が議論される予定です。「診断補助」としての役割が目立つこの現状において、それだけではないこのテストの魅力を、なるべく多くの先生方に知ってもらうために、是非身近な精神科医の先生をお誘い下さい!また、普段から医療現場で、医師との連携に不安や不足を感じていらっしゃる心理士の先生方には、直接医師の見解を尋ね議論する稀有な機会となるかと思います。当学会は、日本精神神経学会精神科専門医制度における精神科専門医資格の更新に際して、必要とする取得単位を得る方法の一つとしての「研修会・研究会等への参加」に当たる団体として指定されました。大会参加で、規定にあるポイントを取得することができます。また、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会の規定に従い、臨床心理士研修ポイントを取得することができます。多くの先生方のご参加をお待ちしております。