研究助成制度に関するお知らせ



平成24年度研究助成は、以下のとおり決定しました。

安田傑 殿(関西学院大学)

「“What’s wrong with the Rorschach?”による論争展開についての文献研究-包括システムへの批判とその反論-」

助成金額170,000円




馬淵聖二 殿(千歳烏山心理相談室)他

「空白反応の解釈仮説の精緻化について」

助成金額200,000円




担当理事 渡邉 悟  平成25年2月7日




研 究 成 果 報 告 書



                               2015年3月20日




 包括システムによる日本ロールシャッハ学会会長 殿




報告(代表)者
山田 聡子 所属機関 きしろ心理相談室







共同研究者
馬淵 聖二 千歳烏山心理相談室・菱沼メンタルクリニック




報告内容
1 研究テーマ(副題を含む)



リストカットを頻回に行う精神科通院中の女性のロールシャッハテスト上の特徴について ~リストカットを行わない精神科通院中の女性ならびに精神科通院歴のない女性のロールシャッハテスト上の特徴と比較して~




2 研究概要(目的、手続、結果、考察等)



目的と方法:本研究では,①精神科通院中の自傷行為(リストカット)を行う女性34名(自傷群),②精神科通院中の自傷行為(リストカット)を行わない女性33名(非自傷群),③自傷行為も精神科通院歴もない女性39名(健常群)の3群を比較し,①自傷群の特徴をより鮮明に浮かび上がらせることを試みた。

結果と考察:①自傷群は,PTI,FQ-,X-%が他の2群よりも有意に高く,知覚と認知の問題を抱えることが示された。さらに,①自傷群は③健常群よりもR,F,m,Pure H以外のH,Hx,An,Bl,Sx,Id,Sum6,WSum6が有意に高く出現し,①自傷群は③健常群と比べて反応数も多いが,部分的・空想的な人間反応が多く,辺縁的な思考や過剰な投影,思考の逸脱,性反応,解剖反応,血液反応などが多く,より非適応的であると考えられた。①自傷群と②非自傷群の間に有意差は見られなかったが,②非自傷群は①自傷群と③健常群の中間に位置する値を示すことが多く,①自傷群は②非自傷群よりもさらに問題や困難を抱えやすいのではないかと考えられた。また,③健常群と比較すると①自傷群の特徴は顕著であり,①自傷群の抱える困難さや様々な問題点がロールシャッハテストの結果にも反映されることが示された。




3 本研究の発表予定



この研究の結果については、2015年包括システムによる日本ロールシャッハ学会第21回大会において発表予定であり、発表後は包括システムによる日本ロールシャッハ学会誌に論文として投稿予定である。




4 収支報告(助成金の使途を含む)



助成金額                         183,600円

① 謝金(2,000円×14名分)                28,000円

② データ入力謝礼(1,000円×14名分)           14,000円

③ 郵送費(FB用紙返送14名分、ローデータ送付など)    3,840円

④ 文房具代(封筒、筆記用具等)   650円

⑤ インク代(5色×1,000円)        4,320円

⑥ コピー代(コピーカード購入)       4,500円

⑦ ロールシャッハ図版           12,960円

合計                           68,270円

(返金:115,330円)




補足説明:当初の計画では,①自傷群50名,②非自傷群50名,③健常群50名で3群間の比較をする予定であった。しかし,①自傷群と②非自傷群は,治療経過中に躁うつ病や統合失調症,発達障害などの可能性が浮上した対象を除外したところ,それぞれ①自傷群34名,②非自傷群33名まで減少した。③健常群は,①と②と年齢,学歴が同等になるような女性協力者を探したが,なかなか見つからなかったため,過去の共同研究(馬淵・岸・和田・山田)の研究協力者の中で,年齢・性別・学歴が同等になるような対象者を検索したところ,25名が見つかった(馬淵らの研究協力者はそれぞれ『その後の研究への協力』を承諾している)。それら25名のデータに加えて,追加で25名の健常者のデータを収集予定であったが,①自傷群,②非自傷群の対象が減少したこともあり,最終的に健常者14名分のデータを収集するに留まり,14名分の謝金と14名分のデータ入力謝金を支払った。




















包括システムによる日本ロールシャッハ学会 平成26年度研究助成審査 報告書 

Ⅰ.審査経過

 平成26年度の研究助成については、申請締切日である平成26年9月30日までに、3件の応募があった。研究助成審査委員全員が、個別に量的・質的評価を行い、それを委員長が責任をもって集計した。委員全員の評価結果をもとに、同年11月15日(土)に委員会を開催し、「包括システムによる日本ロールシャッハ学会における研究助成に関する規程」第9条に基づいて委員会案を作成し、平成27年1月31日に開催された常任理事会に提出した。同規程第9条2項に基づいて常任理事会で審議を行った結果、平成26年度は残念ながら採択なしとなった。




Ⅱ.全体の講評

 研究計画において最も大切なことは論理性である。何を研究したいのかというリサーチ・クエスチョンに基づいて、誰が読んでも「この研究は、こういうことを、こういう方法で研究する」ものであると論理的に追えることが肝要である。たとえば、「何を調べるのか漠としていて分からない」「何を調べたいのかはおおよそ分かるが、方法論に具体性がない」「なぜAを調べるために、Bという方法なのか分からない」といった研究計画では、包括システムの発展への寄与を目的とする、当学会の研究助成の対象とすることは難しい。そこで、研究助成申請書には、最低でも次の5点が明確に記されていることが望まれる。




1)何を研究するのか(研究テーマ、研究目的、研究の意義)

2)どうやって研究するのか(研究の方法論、研究計画)

3)そのためには何か必要なのか(予算案、助成金の使途)

4)そのための下準備がどれだけ出来ているか(実施状況)

5)倫理面の配慮がされているか




特に重要なのは、1)2)である。ここがきちんと書き込まれていることが重要であり、3)4)5)は1)2)から必然的に帰結される。







今後、申請予定の会員に、委員会から以下のコメントを伝えたい。




1)地道な研究も、大規模研究と同じく大切なものである。毎日の臨床の中で「もしお金をかけられれば、ここのところを研究できるのに!」というようなアイディアを支援したい。

2)たった一人で研究計画を書かない(仲間を作る/誰かにアドバイスをもらう)。

 3)方法論は具体的に書く(抽象的にしない)。

4)20万円全部を無理に使いきろうとしなくてよい(少額の申請でも問題ない)。

5)倫理委員会がない所属であっても、倫理的な配慮が十分にされていればよい。




平成27年度は、多くの、よく吟味された申請書が届くことを祈念している。




平成27年2月8日




                              研究助成審査委員会










平成25年度研究助成は以下のとおり決定しました。



山田聡子殿(きしろ心理相談室)

リストカットを頻回に行う精神科通院中の女性のロールシャッハテスト上の特徴

について~リストカットを行わない精神科通院中の女性ならびに精神科通院歴のない女性のロールシャッハテスト上の特徴と比較して~

助成金額 183,600円




芦村和美殿(金沢大学医薬保健研究域医学系脳情報病態学)

被虐待体験のある双極性障害者における認知的特徴の検討

-効果的な心理教育の開発に向けて-

助成金額 171,160円




平成25年12月10日

担当理事 渡邉 悟







平成24年度 研究助成をふりかえって



研究助成審査委員会 委員長 津川律子




JRSC第18回総会(会場:第18回金沢大会大会)において、研究助成制度の開始が承認されました。その後、「包括システムによる日本ロールシャッハ学会における研究助成に関する規程」が制定され、研究助成申請書と研究成果報告書の様式が出来上がり、平成24年度から助成制度を開始できることになりました。

 しかし、初年度に限っては、申請期間が10月1日から11月30日までの2ヶ月間と短くなり、応募があるかどうか案じましたが、2件のご応募がありました。

研究審査委員会で厳正に審査した結果を、委員会提案として常任理事会に諮り、2件とも採択されました。具体的な研究テーマ等は当会HPをご覧ください。その後、初年度の審査経験から、規程の改定を行い、これも当会HPにアップされています。

平成25年度の研究助成に関しても、すでにご案内のように、平成25年4月1日~9月30日までとなっておりますので、多くのご応募を委員会一同、期待しております。

なお、応募に際して、書類の記入が楽になるように、現在、申請書の「記入の仕方」などを作成しましたので、当会HPにアップさせていただきます。

学会員の皆様が、この制度を活用して、活発に研究活動を行い、包括システムによるロールシャッハ法の一層の発展につながることを祈念しております。




平成25年6月19日


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包括システムによる日本ロールシャッハ学会編『ロールシャッハとエクスナー』ロールシャッハ・テストの起源と発展 金剛出版 ISBN4-7724-0868-1 C3011 \2800E
ロールシャッハとエクスナー.jpg
まえがき
 包括システムによる日本ロールシャッハ学会の設立10周年を記念して,学会企画として本書を出版できたことを心から嬉しく思っています。LinkIcon続きはこちら


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JRSC会長あいさつ

包括システムによる日本ロールシャッハ学会シンポジウム画像.JPG 本学会は、1993年にアジアでははじめて 国際ロールシャッハ及び投映法学会に団体登録された、日本で最初のロールシャッハ学会として設立されました。設立当時は30人に満たない組織でしたが、学会員数は500名を超える学会に成長しました。

このサイトは,包括システムによる日本ロールシャッハ学会の公式サイトです。
 当学会は,包括システムによるロールシャッハ法を学び,その発展・普及および研修者間の連携・協力をはかっています。例年5月に大会を開催する他,機関誌,ニュースレターを発行し,各地で研修会を実施しています。また,国際ロールシャッハ及び投映法学会(The International Society of the Rorschach and Projective Methods (ISR) )に団体会員として登録し,その活動に参加しています。
 当学会は,平成20年4月7日付けで日本学術会議の協力学術研究団体に指定されました。
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