研 究 成 果 報 告 書

                               2017年3月15日

 包括システムによる日本ロールシャッハ学会会長 殿

報告(代表)者
浅野 正 所属機関 文教大学人間科学部臨床心理学科


報告内容
1 研究テーマ(副題を含む)
 大学生における抑うつのリスク要因としての性格傾向

2 研究概要(目的、手続、結果、考察等)
<目的>
本研究の目的は、気質と性格目録(Temperament and Character Inventory: TCI)とロールシャッハ・テストによって測定される性格傾向の抑うつへの影響を調査することであった。

<方法>
74名の大学生が、本研究に参加した(男性32名、女性42名:平均年齢20.0歳)。本研究の対象者に対し、TCI、ロールシャッハ・テスト、Beck Depression Inventory(BDI)を実施した。全部で7つあるTCIの下位尺度のうちの1つである「損害回避」(Harm-Avoidance)と、ロールシャッハ・テストの感情の主要変数を複数選択して分析を行った。「損害回避」は、先行研究で抑うつの発生や経過に関連する性格の脆弱さを示すとされる。まず、BDIとの相関を算出した。次に、階層的重回帰分析によって、TCIの「損害回避」とロールシャッハ変数を組み合わせることで、増分妥当性が追加されるかを調べた。

<結果>
相関分析の結果、TCIの下位尺度である「損害回避」、およびWSumC、SumC’、Blendsの3つのロールシャッハ変数が、BDIの総得点との間で有意に正の相関を示した。階層的重回帰分析を実施した結果、ステップ1として、独立変数に「損害回避」を投入したところ、従属変数であるBDIの分散の51.8%を説明していた。次に、ステップ2として、WSumC、SumC’、Blendsの3変数を独立変数に投入したところ、3変数はBDIの分散の5.2%を有意に追加していた。

<考察>
TCIとロールシャッハ・テストを組み合わせて使用することで、抑うつのリスク要因としての性格傾向を特定するための精度を向上させることができる可能性が示された。

3 本研究の発表予定
 本研究結果は、2017年の国際学会において口頭発表を予定している。その後、JRSC学会誌に論文として投稿する予定である。

4 収支報告(助成金の使途を含む)
 協力者4名への謝金(72,800円)

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JRSC会長あいさつ

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 当学会は,包括システムによるロールシャッハ法を学び,その発展・普及および研修者間の連携・協力をはかっています。例年5月に大会を開催する他,機関誌,ニュースレターを発行し,各地で研修会を実施しています。また,国際ロールシャッハ及び投映法学会(The International Society of the Rorschach and Projective Methods (ISR) )に団体会員として登録し,その活動に参加しています。
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