20回記念大会は終了しました。
ミニワークショップ:PFスタディとMMPI―ロールシャッハとの組み合わせ―
馬淵 聖二(千歳烏山心理相談室、菱沼メンタルクリニック)
なんとなくは知っているPFスタディ…グラフの読み方はわかるけれどもそれ以上のことについてはうまく読み込めないMMPI…このミニワークショップでは、そんな方を対象に、PFスタディとMMPIをどう読めば、ロールシャッハと有機的に組み合わせることができるかを学んでいきます。
まずPFスタディ・MMPIそれぞれについて、日常的な使い勝手が良くなるような工夫をご紹介しつつ、どんな場合・どんなケースに対して用いると良いのか、ロールシャッハと重なるところ・重ならないところについて、症例をまじえて解説をしていきます。
PFスタディの意外な面白さや、MMPIの下位尺度を含めた読み込みの便利さを知って頂き、今後もっと気楽に使えるようになる機会になるかと思います。
ミニワークショップ:ロールシャッハ・テストとの比較からみたワルテッグ・テストの理解
村上 貢(成城墨岡クリニック)
ワルテッグ・テストはドイツの心理学者、Wartegg,E.により開発された描画法です。内法4×4cmの8つの枠内に点や直線、曲線からなる刺激図形が描かれており、ここに描かれた描画からクライエントの理解を目指します。
描画の理解法としては、1950年代に伝えられたKinget,M.による手法や、1990年代に伝えられたVetter,A.らの手法、近年ではイタリアのCrisi,A.の手法などがわが国に紹介されています。2011年のISR国際学会で来日された際のCrisi先生のレクチャーをお聴きになった方もおられるかもしれません。
このように様々な国で用いられているものの、日本ではあまり研究が進んでおらず、それほど広まっているとは言えません。今回は、ロールシャッハとワルテッグの関係を通じて、このテストからどんなことが見えてくるのか少しでもお示しできればと考えております。多くの方に関心を持って頂ければ幸いです。
ミニワークショップ:星と波描画テスト
香月 菜々子(大妻女子大学)
星と波描画テスト(独:Der Sterne-Wellen Test, 英:Star-Wave Test)は、ドイツの心理学者アヴェ=ラルマン(Ave-Lallemant,U.)によって1970年代に開発された“星空”と“海の波”をテーマとする投映描画テストである。用紙が小さく、施行が短時間で可能であるのに加えて、侵襲性が低いのが特徴で、教育、医療、司法をはじめとする心理臨床の現場で役立てられている。対象も児童に限らず、80代後半までの幅広い年齢層に適用されており、パーソナリティの理解もさることながら、精神的不調からの回復過程の振り返りや、心理療法導入期における描き手とセラピストの関係づくりの一助として用いられている。
本ワークショップでは、まずは実習として、星と波描画テストに直接触れていただきたいと考えている。そしてこの描画体験をベースに、施行方法や基礎的な解釈、そして他のテストとの併用における本テストの持ち味について解説する。後半は事例の紹介をまじえて、面接場面で扱う際の留意点を具体的に学ぶことで、本テストに親しみ、実践に役立てて頂ければ幸いである。
ミニワークショップ:ロールシャッハとTAT
今村 有子(甲府少年鑑別所)
投影法といえば、必ずと言ってよいほど並んで挙げられるロールシャッハテストとTATを取り上げる。両テストとも、習熟するには相応の努力が必要であり、特にTATは、プロトコルの量の多さ、明確な基準データや標準的な分析・解釈枠が確立されていないなどのことから、一層難しいとされ、講師の所属する心理アセスメントを主たる業務とする矯正領域でも十分に活用されているとは言いがたい。しかし、被験者とかかわり、その心の世界に触れることのできる両テストには大きな魅力がつまってもいる。人格の機能と構造についての情報を与えると言われるロールシャッハテストと、人格の内容についての情報を与えると言われるTATが、被験者の人格を理解する上でどう補完的に働くか、また、その心の成長や回復にどう寄与できるかを見ていきたい。できるだけ事例に即して具体的な理解を目指したい。講師自身も参加者とともに学びたいと思って楽しみにしている。