研 究 成 果 報 告 書
2014年 4月 11日
包括システムによる日本ロールシャッハ学会会長 殿
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報告(代表)者:馬淵 聖二 千歳烏山心理相談室
共同研究者:山田 聡子 きしろメンタルクリニック
共同研究者:和田多佳子 長谷川病院
共同研究者:岸 竜馬 立教大学 大学院 現代心理学研究科
報 告 内 容
1 研究テーマ(副題を含む)
空白反応の解釈仮説の精緻化について
2 研究概要(目的,手続,結果,考察等)
① 目的
本研究では,空白反応(以下S)について,非臨床群データを用いて,攻撃性や複雑性などの仮説との関連を調べ,これまでの臨床群データで得られた知見との異同を検討する。攻撃性との関連を含め,Sの解釈をより精緻化することを目的とする。
② 方法
対象は,一般成人の調査協力者67名のロールシャッハ,MMPI,PFスタディ,多面的競争心尺度のデータである。
S小群(S≦2,22名),S中群(S=3か4,26名),S大群(S≧5,19名)の群分けを行った上で,仮説に関連する変数について検定を行った。
③ 結果と考察
複雑性仮説について:Sが多いほど,DQ+,Zf,R,EA,es,ブレンド反応が多く,複雑性が増すことが示唆された。一方では,Sが多いほど,現実検討力が低下する傾向が見られた。
攻撃性仮説について:攻撃性に関連する変数(AG,MMPIの4Pd,PFスタディのEとE-A)とSとの間には関係が見られなかった。一方,多面的競争心尺度の「手段型競争心」,「負けず嫌い」の因子は,S大・S小群がS中群よりも有意に高かった。
以上の結果から,概ね臨床群と同様の傾向が示された。Sは複雑性に関連し,攻撃性の直接的表現とは関連しないが,競争心や負けず嫌いの心性との関連が示唆された。
3 本研究の発表予定
① 学会の年次大会での発表
JRSC第20回記念大会にて,本研究の口頭発表を予定している。
② 投稿論文による発表
JRSC年次大会での発表終了後,JRSC学会誌に研究報告の種目で論文の投稿を予定している。
4 収支報告(助成金の使途を含む)
(支出内訳)
① 非臨床群協力者67名に対し,それぞれ2,000円の謝礼を支払い,合計134,000円となった。
② 検査用具代が23,887円(MMPIの冊子,PFスタディ用紙67部)
③ 郵送費が3,720円(書類送付用,80円切手×26枚+120円切手×2枚+レターパックライト350円×4通)
合計で161,607円となり,助成金額200,000円に対して38,393円余りが出た。
注 各欄の幅は,必要に応じて拡張してください。