研 究 成 果 報 告 書

                               2015年3月20日

 包括システムによる日本ロールシャッハ学会会長 殿

報告(代表)者
山田 聡子 所属機関 きしろ心理相談室

共同研究者
馬淵 聖二 千歳烏山心理相談室・菱沼メンタルクリニック


報告内容
1 研究テーマ(副題を含む)
リストカットを頻回に行う精神科通院中の女性のロールシャッハテスト上の特徴について ~リストカットを行わない精神科通院中の女性ならびに精神科通院歴のない女性のロールシャッハテスト上の特徴と比較して~

2 研究概要(目的、手続、結果、考察等)
目的と方法:本研究では,①精神科通院中の自傷行為(リストカット)を行う女性34名(自傷群),②精神科通院中の自傷行為(リストカット)を行わない女性33名(非自傷群),③自傷行為も精神科通院歴もない女性39名(健常群)の3群を比較し,①自傷群の特徴をより鮮明に浮かび上がらせることを試みた。

結果と考察:①自傷群は,PTI,FQ-,X-%が他の2群よりも有意に高く,知覚と認知の問題を抱えることが示された。さらに,①自傷群は③健常群よりもR,F,m,Pure H以外のH,Hx,An,Bl,Sx,Id,Sum6,WSum6が有意に高く出現し,①自傷群は③健常群と比べて反応数も多いが,部分的・空想的な人間反応が多く,辺縁的な思考や過剰な投影,思考の逸脱,性反応,解剖反応,血液反応などが多く,より非適応的であると考えられた。①自傷群と②非自傷群の間に有意差は見られなかったが,②非自傷群は①自傷群と③健常群の中間に位置する値を示すことが多く,①自傷群は②非自傷群よりもさらに問題や困難を抱えやすいのではないかと考えられた。また,③健常群と比較すると①自傷群の特徴は顕著であり,①自傷群の抱える困難さや様々な問題点がロールシャッハテストの結果にも反映されることが示された。

3 本研究の発表予定
この研究の結果については、2015年包括システムによる日本ロールシャッハ学会第21回大会において発表予定であり、発表後は包括システムによる日本ロールシャッハ学会誌に論文として投稿予定である。

4 収支報告(助成金の使途を含む)
助成金額                         183,600円
① 謝金(2,000円×14名分)                28,000円
② データ入力謝礼(1,000円×14名分)           14,000円
③ 郵送費(FB用紙返送14名分、ローデータ送付など)    3,840円
④ 文房具代(封筒、筆記用具等)   650円
⑤ インク代(5色×1,000円)        4,320円
⑥ コピー代(コピーカード購入)       4,500円
⑦ ロールシャッハ図版           12,960円
合計                           68,270円
(返金:115,330円)

補足説明:当初の計画では,①自傷群50名,②非自傷群50名,③健常群50名で3群間の比較をする予定であった。しかし,①自傷群と②非自傷群は,治療経過中に躁うつ病や統合失調症,発達障害などの可能性が浮上した対象を除外したところ,それぞれ①自傷群34名,②非自傷群33名まで減少した。③健常群は,①と②と年齢,学歴が同等になるような女性協力者を探したが,なかなか見つからなかったため,過去の共同研究(馬淵・岸・和田・山田)の研究協力者の中で,年齢・性別・学歴が同等になるような対象者を検索したところ,25名が見つかった(馬淵らの研究協力者はそれぞれ『その後の研究への協力』を承諾している)。それら25名のデータに加えて,追加で25名の健常者のデータを収集予定であったが,①自傷群,②非自傷群の対象が減少したこともあり,最終的に健常者14名分のデータを収集するに留まり,14名分の謝金と14名分のデータ入力謝金を支払った。






























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包括システムによる日本ロールシャッハ学会編『ロールシャッハとエクスナー』ロールシャッハ・テストの起源と発展 金剛出版 ISBN4-7724-0868-1 C3011 \2800E
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まえがき
 包括システムによる日本ロールシャッハ学会の設立10周年を記念して,学会企画として本書を出版できたことを心から嬉しく思っています。LinkIcon続きはこちら


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