研 究 成 果 報 告 書

                            2019年  10月 13日

包括システムによる日本ロールシャッハ学会会長 殿

報告(代表)者:兼城 賢志
所属機関 上智大学,前土屋小児病院

報 告 内 容

1 研究テーマ(副題を含む)

自閉スペクトラム症をもつ児童のロールシャッハ反応の特徴

2 研究概要(目的,手続,結果,考察等)

本研究の目的は自閉スペクトラム症(ASD)をもつ成人に関するロールシャッハ(Ro)研究で報告されている質的特徴が,ASD児童のRoにおいても見られるか検討することであった。①検査時の行動(明翫・内田・辻井, 2005),②コミュニケーションの問題 (内田・明翫・辻井, 2012)、③防衛と対象関係(Lerner &Lenrer, 1986;北村他, 2006;2013; 畑中, 2013)、④その他のカテゴリーに関して,ASD児童と定型発達(NT)児童の該当人数を集計し比較をおこなった。対象者は児童精神科を受診し、ASDと診断された児童32名(男性26名, 女性6名; 平均年齢9.1±1.9歳, 6歳-13歳)と縁故法にて研究参加に同意したNT児童23名(男性10名, 女性13名; 平均年齢9.3±2.6歳, 6歳-14歳)であった。各カテゴリーに該当した人数に関してFisherの直接確率法を用いて検定を行った結果
、【図版に対する反応】を示したASD児童は12名(38.0%)であり,NT児童の0名(0.0%)より有意に高かった(p < .01)。その他のカテゴリーにおいて該当人数に有意差は見られなかった。このことから、Roの実施場面におけるASD児童の特徴は物としての図版を用いて手遊びをしたりする行動であると示唆された。一方で、その他の特徴に関してNT児童と比べて逸脱行動が多く見られるわけではなかった。これについては、ASD児童が学校場面で他者の指示に合わせて受動的に行動することが多いことや、言語的能力が成人ほどは発達していないためにRoにコミュニケーションの逸脱も反映されにくいことなどが考えられた。

包括システムによる日本ロールシャッハ学会編『ロールシャッハとエクスナー』ロールシャッハ・テストの起源と発展 金剛出版 ISBN4-7724-0868-1 C3011 \2800E
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まえがき
 包括システムによる日本ロールシャッハ学会の設立10周年を記念して,学会企画として本書を出版できたことを心から嬉しく思っています。LinkIcon続きはこちら


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JRSC会長あいさつ

包括システムによる日本ロールシャッハ学会シンポジウム画像.JPG 本学会は、1993年にアジアでははじめて 国際ロールシャッハ及び投映法学会に団体登録された、日本で最初のロールシャッハ学会として設立されました。設立当時は30人に満たない組織でしたが、学会員数は500名を超える学会に成長しました。

このサイトは,包括システムによる日本ロールシャッハ学会の公式サイトです。
 当学会は,包括システムによるロールシャッハ法を学び,その発展・普及および研修者間の連携・協力をはかっています。例年5月に大会を開催する他,機関誌,ニュースレターを発行し,各地で研修会を実施しています。また,国際ロールシャッハ及び投映法学会(The International Society of the Rorschach and Projective Methods (ISR) )に団体会員として登録し,その活動に参加しています。
 当学会は,平成20年4月7日付けで日本学術会議の協力学術研究団体に指定されました。
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