研 究 成 果 報 告 書
2020年3月31日
包括システムによる日本ロールシャッハ学会会長 殿
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報告者:戸村 光恵
所属機関 中村心理療法研究室
報 告 内 容
1 研究テーマ(副題を含む)
包括システムによる子どものロールシャッハ基礎データ研究
2 共同研究者
有住洋子,大場いずみ,小倉菜穂子,熊坂幸代,坂井直子,手束恵,中川久子,西田泰子,藤田美枝子,本多洋子,村松朋子,山城沙千子,中村紀子
3 研究概要(目的、手続、結果、考察等)
① 目的
本研究は,包括システムによるロールシャッハテスト(以下,CS)のデータを通して,子どもの心的成長過程を心理学的に理解することを目的とし,7歳(→9歳→12歳),9歳(→12歳→14歳),12歳(→14歳→16歳)を対象に,継続的に3回テストを行う縦断的研究の第2期である。
② 手続き
第1期において縁故法や紹介で募った研究参加児童(96名)のうち,第2期の研究にも協力が得られた7→9歳(17名),9→12歳(17名),12→14歳(16名)の計50名に,第1期と同様にレイ複雑図形検査を施行した後にCSを施行した。
③ 結果と考察
各群のCSの各変数に対して,ウィルコクソンの符号付順位和検定を行った結果,7歳→9歳では,EA, M, Ma, Mu, DQ+, FD, SumY, Blend, Blend%, GHR, H, Cgが有意に高くなり,心理的資質や内的力の基礎を培う重要な時期と思われた。9歳→12歳では,自己中心性指標が有意に高く,F, Ad, DVが有意に低くなり,外界に少しずつ開かれていき複雑な社会に馴染んでいく時期のようであった。12歳→14歳では,X+%が有意に高くなり,より明確な判断が可能になり社会適応的になることが予測された。このように子どもたちには各年齢に見合った成長課題があり,年齢の推移に従ってそれぞれ異なる心理的成長を果たしていることが示された。